しおどき SHIODOKI

釣り場の水深は潮で3m変わる — 釣歩記で約120か所を測ったときの潮位の扱い

公開日:2026-10-05

しおどきの運営者は、2020年2月から2021年5月にかけて、YouTubeチャンネル「釣歩記(つりあるき)」で、瀬戸内海を中心に13府県・約120か所の釣り場を歩きました。動画では、釣り場を歩き、水中映像を撮り、水深を測って、釣り場の総評をしています。

撮影地の近くの観測点の干満差

呉
275cm
水島
263cm
松山
258cm
別府
163cm
仮屋
161cm
宇和島
159cm
片島
144cm
唐津
143cm
博多
133cm
佐伯
128cm
小松島
123cm
洲本
102cm
浜田
34cm
境
22cm
気象庁 2026年潮位表の推算値から、各観測点の1日の干満差を通年で平均した値(cm)。同じ「水深を測る」作業でも、潮位で補正する量が場所によってこれだけ違います。

この記事では、そのとき測った水深を潮位でどう扱っていたかを紹介します。釣り場の水深は、同じ場所でも潮の時刻によって数mも変わります。潮見表の数字が実際の釣り場でどれだけ効いてくるのかを、撮影した日の実際の潮位で見ていきます。

歩いた釣り場

府県本数主な撮影地近くの観測点(平均の干満差)
広島県32呉市(倉橋島の鹿老渡・袋ノ内・室尾など)、江田島市(小田漁港・赤曲鼻など)、坂町呉 約275cm
山口県21周防大島町(伊保田・小松・神浦など)、岩国市、下関市—
愛媛県19佐田岬半島(三崎港・二名津・佐田岬漁港など)、愛南町、大洲市松山 約258cm
宇和島 約159cm
兵庫県12淡路島(炬口・生穂新島・岩屋港など)洲本 約102cm
高知県7宿毛市(片島港・池島・大島)片島 約144cm
佐賀県7唐津市(呼子・唐房・湊)、玄海町(仮屋)唐津 約143cm
仮屋 約161cm
島根県6出雲市(大社築港・鵜峠)、松江市(美保関)浜田 約34cm
福岡県6福岡市(須崎埠頭・西浦)、糸島市博多 約133cm
大分県4佐伯市、津久見市、別府市佐伯 約128cm
別府 約163cm
徳島県3鳴門市(北泊・亀浦)小松島 約123cm
岡山県2倉敷市(唐琴・田土浦)水島 約263cm
鳥取県1境港市(夢みなと公園)境 約22cm

本数は釣り場紹介の動画の数です。干満差は、しおどきの都道府県ページと同じく、気象庁 2026年潮位表の推算値から集計した年間平均です。

広島県の呉市・江田島市から山口県の周防大島、愛媛県の佐田岬半島、淡路島まで、瀬戸内海の釣り場が半分以上を占めます。瀬戸内海は日本でも潮の大きい海で、呉では1日の干満差が平均でも2.7m前後あります。

水深を「潮位0cm」の高さに直していた理由

動画の水深は、すべて海図の最低水面(潮位0cmのときの水深)に換算した値で記録しています。測ったままの水深を載せなかったのは、同じ場所でも測る時刻によって数字がまったく変わってしまうからです。

たとえば2020年7月25日は、江田島市の小田漁港・大原湾湾口・赤曲鼻と、呉市の大迫漁港を1日で撮影しました。この日の呉の潮位(気象庁の推算値)は次のとおりです。

時刻潮位
0:47 満潮375 cm
6:54 干潮99 cm
12:49 満潮332 cm
19:05 干潮49 cm

出典:気象庁 2020年潮位表(呉)。

昼の満潮から夕方の干潮までの約6時間で、海面は2.8mほど下がっています。昼に「水深5m」だった場所は、夕方には2m強しかありません。測ったままの数字を並べると、昼に撮った釣り場は深く、夕方に撮った釣り場は浅く見えてしまい、釣り場どうしを比べられなくなります。

そこで、測った水深から、測った時刻の潮位を差し引いて、潮位0cmの高さに揃えていました。

換算した水深 = 測った水深 − 測った時刻の潮位

水深は、ロープと錘、水中ドローンの深度計で測りました。どちらで測っても、測った時刻の潮位を差し引くところは同じです。

いちばん苦労したのは、波止の足元に入っている捨て石の測量です。捨て石は防波堤の基礎として海中に積んだ石で、波止の際から沖へ斜めに広がっています。少し位置がずれるだけで水深が大きく変わるため、1か所測っただけでは釣り場の深さを代表できません。

こうして揃えておけば、釣りに行く日の潮位を潮見表で見て足し戻すだけで、その時刻のおおよその水深が分かります。潮位0cmの面は「めったに下回らない低い高さ」として決められているので(潮位の「cm」は何の高さ?)、換算した水深は「その釣り場が最も浅くなるときの目安」にもなります。

2020年2月25日・7月25日に撮影した江田島市の小田漁港。水中ドローンの映像を加えたリメイク版です。 YouTubeで見る

日本海側では補正がほとんど要らない

島根県の出雲市・松江市や鳥取県の境港市でも撮影しました。日本海側は干満差が20〜30cm台しかないため、潮位を差し引いても水深はほとんど変わりません。瀬戸内海で2〜3mの補正をしていたのとは対照的です。

同じ「釣り場の水深」でも、瀬戸内海では潮の時刻を書き添えないと意味が通じないのに対し、日本海側では測ったままの数字でもおおよその目安になります。歩いてみて瀬戸内海との違いをいちばん感じたのは、水の透明度の高さでした。潮見表をどこまで気にするべきかは、行く海によって大きく違います(干満差は地域でこんなに違う)。

島根県出雲市の大社築港。日本海側の釣り場です。 YouTubeで見る

水中映像で釣りを確かめる

釣り場紹介とは別に、水中映像で釣りを検証する動画も作りました。

水中を撮っていて共通して見えたのは、潮が動くほど魚が岩陰から出てきて、積極的に動くことです。潮が止まっている時間と動いている時間で、同じ場所でも魚の様子がはっきり変わります。しおどきの地点ページの「潮がよく動く時間帯」で、その日に潮位が速く変わる時間を前もって確かめられます。

2020年2月15日、江田島市の湾奥の港で撮影。 YouTubeで見る
2021年3月27日、宮島で撮影。水温13〜14℃。 YouTubeで見る

釣り場は変わる

動画の公開後、淡路島の洲本港の赤灯台は立入禁止(2021年4月時点)、鳴門市の北泊漁港は釣り禁止になったと聞いています。釣り場の状況は年単位で変わります。古い情報のまま出かけず、現地の掲示や管理者の案内を確認してください。

しおどきで水深を見積もるには

海図や釣り場の資料にある「潮位0cmのときの水深」に、その時刻の潮位を足すと、行く時刻のおおよその水深になります。しおどきの地点ページに10分毎の潮位の表を載せているのは、こうした測量や調査で、測った時刻の潮位をそのまま読めるようにするためです。表はコピー・CSVで書き出せるので、測った記録と並べて補正に使えます。ただし、潮位は推算値で、気圧や風で数十cmずれることがあります(潮位偏差とは)。足場の高さや水深の判断は、現地の状況でも確かめてください。

釣り場紹介と検証の動画は、YouTube「釣歩記(つりあるき)」で公開しています。

参考資料

ほかのガイド記事

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